関西と関東では、植栽計画を立案する時の感覚の相違についてご紹介します。
まず、植栽計画の感覚の違いを考える上で重要なのが、樹木の価格の違いについてです。
関西では常緑樹と落葉樹の価格はほぼ同じですが、関東では落葉樹の方が若干安いのです。
これは、落葉樹が関東での生産が多く、常緑樹は九州での生産が多いためです。
よく使用する樹木を建設物価で調べると、目通り15㎝の常緑樹(クス・シラカシ・クロガネモチ・スダジイ)と落葉樹(イロハモミジ・ケヤキ・カツラ。エゴノキ)の樹木の平均の価格は、関西では常緑樹14,125円で落葉樹14,000円とほぼ同額ですが、関東では常緑樹13,250円で落葉樹が12,125円と1,000円強の価格差があり、樹木が大きくなるとさらに価格差が大きくなります。
よって、関西では、葉が落葉し掃除が大変で、冬になると背景が見えてしまう落葉樹はポイント的に使用し、植栽の主流を常緑樹で構成したデザインが多く採用されます。
しかし、関東では落葉樹の価格が安いため、落葉して枝だけになっても、背景をぼかしつつ緑化のボリューム感を出すために、常緑樹と落葉樹を2:1等で組み合わせて全体の植栽をデザインします。
安価で、バランス良くボリュームを多く見せるのに重要なのが、植栽を3・5・7本でユニットを構成してして植栽することです。
各ユニットは、常緑樹と落葉樹をバランスよく配色すると、植栽全体がよりよくみえる演出が出来ます。
さて、では常緑樹をどの位まで減らしても冬場に緑化したイメージ感を残せるかというと、植栽のデザインにもよりますが、全体の約30%以上が常緑樹であれば緑化したイメージ感が残せると言われています。
このように、関西と関東では根本的な植栽の感覚に相違があると思います。
最後に、造園の答えは1つでは無く、気候や土壌などの環境のほかに、使用する人の目的や好みによって、私は無数だと思っています。
皆さんも、沢山の答えを出せるランドスケーパーになって頂きたいと思います。