植物がどうやって水を吸い上げているかご存知でしょうか。
よくお客様と話していると、根からゴクゴク飲んでいると勘違いされている方もいらっしゃいます。
植物と水との関係を知ると水やりの方法の参考にもなるので、今回は植物が水を吸い上げる方法をご紹介します。
皆さんもご存知の通り、水はイオン濃度が薄い方から濃い方へ流れることが知られています。浸透圧と呼ばれるものですね。
私達人間の細胞でも行われている方法です。
植物の根も、この浸透圧を利用して水分や養分を吸収しています。
根の細胞のイオン濃度が根の周りの水分や養分のイオン濃度より濃ければ、能動的に根に水分や養分が取り込まれます。その水分や養分が浸透圧によって根の中心部に運ばれます。
つまり植物は根から水をゴクゴク飲んでいるわけではなく、根の浸透圧によって取り込まれる水分を利用していることが分かります。これより、水のやりすぎや鉢皿に水分を溜めることが如何に不要な行為か理解できると思います。
さて、水分はそのままでは上部へ上がりません。
いくつかの要因が重なり、水は植物体の上部へ運ばれていくと考えられています。
根の細胞は吸収された水で圧力が高まっています。これを根圧といいます。これにより根は導管内の水を上に押し上げようとする力が生じます。
また水には凝集力という力があり、水分子はお互いに近くに引き寄せようとするため、根から吸い上げられた水は導管内の水に引っ張られます。
さらに葉で水が蒸散されて失われるので、それを埋めようとして水が下から引き寄せられます。これが繰り返されることで根から水が植物の上部まで到達すると考えられています。
つまり水は植物上部で蒸散が行われるので、ストローのように下から次から次へと水を吸い上げていくわけです。
しかし導管が傷ついて途中に空気が入ると、凝集力が途切れ、水を吸い上げることが出来なくなります。そうなると植物は萎れるのみです。
切り花を買った時に、花屋で水の中で茎を切って下さいと言われませんか?
その理由がこの導管に空気が入らないようすることに由来しています。
このように、水は浸透圧と根圧、凝集力によって何メートルも上に水を運んでいます。実際、下と上では導管内の気圧が全然違うという研究結果があります。