今年は早々に終わってしまった藤の花。毎年、一瞬の艶やかさに魅了されている方も多いのではないでしょうか。各地の見事な藤棚を拝見すると、維持管理に頭が下がる想いです。今回の豆知識は藤について。
フジと一般的に言われるのは、ノダフジと別名があるフジのことです。
その他に日本に自生しているヤマフジがあり、ノダフジとは違い左巻きに巻きます。
フジ(ノダフジ)はマメ科の落葉つる性植物で、ツルは右巻きになります。
ノダは大阪市、かつての野田村に由来されていて、古くから藤の名所だったそう。ちなみに今もかつての野田村、現在の大阪市福島区ではノダフジについての名所や開花情報などの発信をされている様子です。詳しくは福島区のHP「のだふじの会」を参照のこと。
花は4月から6月頃の間に咲き、総状花序という房状に花が咲きます。長いものでは20~30cmの長さになり大変見事です。花は蜂が群がり、藤棚の下にいるとしばしば蜂の羽音でうるさいくらいで驚くことも多いかと思います。
実はフジはクマバチとの不思議な関係があります。クマバチは蜂の中でも大きく重い種です。この重さが重要で、フジの花に取り付くと重さで花の翼弁と竜骨弁という場所が下がり、竜骨弁に隠れていた雌しべと雄しべが出てきます。クマバチが蜜を吸っている間にお腹には雄しべの花粉がつくようになっており、その後別の花に取り付いた時に、雌しべに花粉がつく仕組みになっています。
つまりフジはクマバチの性質を利用し、受粉を効率的に成功させています。
蜂ってちょっと怖いなと、ついつい追い払いたくなりますが、クマバチは基本的に人間に悪さはしない穏やかな蜂ですので、フジの間を飛んでいる時はそっと見守っていて欲しいです。
フジは観賞としての利用の他に、藤棚を作ることで日除けになったり、フェンスの変わりなどにもなります。また、つるを編んで民芸品が作られていることも有名です。布や紐など様々に使われます。
有益になるフジですが、植栽には注意が必要です。
フジは樹勢が大変強く、そのため枝の伸びも根の伸びも大変早い植物です。
野生のフジは樹木に絡み、日光を阻害したり、絞め殺したり、重さで木を倒木させてしまうこともあります。近年、山の管理がされない場所では、フジが増えて木々がフジに侵食され樹勢が弱ったり、枯れてしまったりすることもしばしば起きているとか。
建物のそばに植えると、根が基礎を持ち上げたり、侵入して破壊することもあるため、十分にスペースがとれる広い場所が必要です。
これからフジは剪定の季節。来年のために管理に勤しみたいと思います。