
芝生の管理の中で、オーバーシードという言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。芝生の上に芝の種をまいて育成する方法のことをオーバーシード、もしくはオーバーシーディングといいます。日本では暖地型芝(ノシバやコウライシバなど)が休眠し冬枯れしている間に寒地芝(ライグラス等)を茂らせ、1年中青い芝生を作る方法です。
寒地芝は気温が22度以上になる時期が続くと夏枯れするので、東北地方以南では通年の育成が難しいです。かわりに冬の寒さは大変強く、0度以下の気温でも青く茂る性質があります。この習性を利用して、夏場に強い暖地型芝が冬に休眠する時に寒地型芝の種をまき育成することで、青い芝を維持することが出来るわけです。
見た目だけではなく、寒地芝のライナー(茎)が冬の間に暖地型芝の根を守っていくれることや、育成密度が高くなり雑草が生えにくいというメリットもあります。
オーバーシードは種を撒くわけですから、発芽温度のタイミングを間違えないようにしなければなりません。普通は気温が15度前後になる頃が適温と言われています。
寒地芝がしっかりと育つよう、まずベースとなる暖地芝の整備をします。弊社ではまず芝刈、そしてエアレーションを行います。種を撒いた時にきちんと種が下へ届くように、また播種後に太陽を沢山浴びられるよう芝刈りを、寒地芝が育つスペースを作ったり、肥料などがどちらの芝にもしっかりいきわたるようエアレーションをすると、育ちが違います。目土散布(覆土)をして鎮圧、散水を行います。
肥料は芝生が芽をだしてから。そうでないと雑草等に肥料を盗られてしまうのでもったいないことになります。
こうした一連の作業、しかしイベント事が多い公園ではタイミングよくできないのが現状です。
弊社が管理している東遊園地では、冬場にイベントで芝地に車が入る予定があってオーバーシードをした芝が傷つけられてしまう懸念があって出来ませんでした。
そのためオーバーシードをイベント事が終わった後(2月初旬)、シートをしっかり被せて保温し播種させました。
写真は2月末の様子で、シートの下に芝がびっしり伸びています。
こうして、3月初旬の寒い時期にもかかわらず、青い美しい芝生を作ることが出来ました。
オーバーシードはメカニズムさえ知っていればそんなに難しい技術じゃありません。ご家庭でも出来るので、ぜひやってみて欲しいです。