窒素固定とは、空気中に存在する窒素分子を窒素化合物に変換するプロセスのことを言います。雷の放電や太陽からの紫外線、山火事などの燃焼によって窒素ガスの酸化から窒素酸化物が生成され、雨水に溶けることで土壌に固定されます。
また科学的にアンモニア合成など窒素分子を窒素化合物に変換される手法もあります。
自然界では細菌などの微生物、植物、シロアリなどの動物が形成しています。
よくいう植物の肥料である三大要素、窒素・リン酸・カリの窒素は、こうした窒素固定されたものを植物が利用しています。
こうした窒素固定ができる植物はいくつかあって、代表的なのはマメ科植物です。マメ科植物の多くは根粒菌という細菌と共生しており、空気中の窒素をアンモニアに変える能力があります。
またヤシャブシの仲間や、ハンノキ、ヤマモモも窒素固定できる植物として知られています。どちらも根に根粒菌をもち、空気中の窒素を固定しています。
根粒菌を持つ植物は、窒素固定が出来るため痩せ地でも生育が悪くありません。肥料分が少ない土地でも自前で窒素を供給できるからです。
こうした特性を使い、荒れ地や痩せ地などを森林に戻す際にヤシャブシやハンノキ、ヤマモモが先に植えられることが多くあります。古くは明治時代に六甲山の緑化の際に砂防堰堤の法面などに多く植えられました。
マメ科のレンゲは緑肥として、畑に植えられ、漉き込まれて利用されています。
大気中に多くある窒素。しかし利用するためにはあの手この手で窒素固定をしないと使えないのは不思議な存在です。