
キンモクセイの異名として「便所花」といわれるのをご存知でしょうか。その理由として良く言われるのは、日本のくみ取り式のトイレの消臭対策としてキンモクセイがトイレ周囲に植えられたから、というのがあります。
しかしキンモクセイの花期は秋。しかも花の期間は2~3週間でニオイ消しにはならないのでは?と不思議でした。
そこでどうして便所花と言われるようになったのか、調べたり、考察してみたのが今回の豆知識です。
調べていくと、昭和50年から芳香剤にキンモクセイの香りが発売したそう。
しかもトイレ用だったこと、開発者がトイレ近くに植わっているキンモクセイの風景からヒントを得た、というのが分かりました。芳香剤は大ブレイクして、大いに売れたとか。
つまりニオイとキンモクセイが繋がったのは、昭和50年頃ということかも?
現在は爽やかな香りの方が好まれるのと、トイレが水洗になったこともあり、キンモクセイの芳香剤は減っているようです。
キンモクセイがトイレの近くに植わっていた、という状況は造園家であれば「あぁなるほど」という感じです。
日本のトイレは昔から北側の日当たりの悪い、隅の方に作られるのが通例です。そのため耐陰性のある常緑で、やや目隠しになる樹木を植えることが多いのです。その樹木の候補として挙げられるのが、キンモクセイ、ヤブツバキ、カクレミノ、といった具合。つまりトイレの近くの風景のなかには、よくキンモクセイが植えられて来ました。
芳香剤を作られた方の着想が、必然だったのが良く分かります。
ただし、現在ではキンモクセイの香りは見直されて、トイレとは結びつかず、香り自体をしっかり楽しむ方へシフトしています。
中国の桂花陳酒だったり、桂花茶などの飲み物や食べ物、ディフューザーやハンドクリームの香りなどの日常品など、良い香りとして様々に楽しまれるようになってきています。
ちなみに、他に便所花と呼ばれるものってあるのかな?と調べてみたところ、トイレ近くの日陰でジメジメした場所に植えられる植物としていくつか分かりました。
その中でも興味深かったのが、ドクダミを挙げていた方が数人おられたこと。そしてドクダミをトイレ後にちぎってくみ取り式のトイレに投げ入れていた方がいらっしゃるのを発見。ニオイが消えると書かれていました。
ドクダミの強い殺菌作用があり、また消臭成分もあるので、本当に便所花として本当に効果があったようです!